大林グループで働くあの人から、「つくるを拓く」のヒントを探るインタビュー記事「つくるを拓く人」。第10回は、大林ベトナムの佐藤国浩副社長からご推薦いただいた、「変革力」で拓く人=グェン・ビン・ミンさんにご登場いただきます。
Recommender
Kunihiro Sato
Obayashi Vietnam Corporation
Deputy General Director
Person of “Makes Beyond”
Mr. Nguyen Binh Minh
Obayashi Vietnam Corporation
HCM Head Office – Administration Dept. Manager
大林グループで働くあの人から、「つくるを拓く」のヒントを探るインタビュー記事「つくるを拓く人」。第10回は、大林ベトナムの佐藤国浩副社長からご推薦いただいた、「変革力」で拓く人=グェン・ビン・ミンさんにご登場いただきます。
私がミンさんを推薦した理由
<ゴールへのアプローチ方法を自ら考え実行する、勤勉さと柔軟さを合わせ持った変革者>
大林ベトナムは、日系ゼネコンとして同国で初めての100%出資現地法人です。私は2006年の創業に立ち会い、一度帰国してから2019年に再赴任しました。設立から15年が経った今、大林ベトナムは「事業エリアの拡大」や「事業ポートフォリオの多様化」といった成長フェーズに入っています。
しかし、私が再赴任してまず感じたのは、10年以上前につくった書類フォーマットがいまだにそのまま使われているなど、旧態依然とした業務プロセスや改善が試みられていない業務フローが残っていることでした。そういった率先して新しいことにチャレンジする雰囲気があまりない状況に触れ、大林ベトナムを競争力のある会社に成長させるには、「自ら考える」ことができ、「挑戦へのモチベーションが高い人材」を育成する必要があると考えるようになりました。
そんな時に出会ったのがミン君です。隣国のカンボジアにプノンペン支店を設立する際、私を含む日本人2人とミン君でタスクチームを組んだのがきっかけでした。最初は物静かな青年という印象でしたが、まだ20代後半という若さにも関わらず、弁護士や会計士との打ち合わせをはじめ、実務レベルの作業は全て彼が主体的に動いてくれました。
この支店の立ち上げの際に、ミン君の先を読む力、仕事量×スピードという処理能力、高いモチベーションに感銘を受けた私は、次のミッションとして「業務のDX化推進プロジェクト」のリーダーを任せることにしました。彼にはITの専門知識はほとんどありませんでしたが、私が「DX化で業務をこういう風に変えたい」と具体的なイメージを伝えると、「ぜひ自分もやりたい。こんなことはどうだろう?」と新たなツールやアイデアを次々と出してくれたんです。
紙ベースで行っていた業務手続きを全て電子化する「プラットフォームの再構築」や、情報を共有するための「社内イントラネット」の整備などを担当してもらいましたが、とくに目を見張る成果を上げてくれたのがBIツールを介した「経営ダッシュボードによるデータの見える化」です。今まで個別のシステムやエクセルで管理されていてタイムリーに閲覧できなかったデータが、受注実績や財務情報、人事情報、時間外勤務状況などにいたるまで、同じプラットフォーム上でいつでもアクセスできるようになりました。
この経営ダッシュボードをつくるにはかなりの専門知識が必要ですが、ミン君は独学で習得し、探求することで、外部コンサルの力なども借りずにつくり上げてしまいました。
とにかく知的好奇心が旺盛で自分の成長にも貪欲なミン君は、ゴール設定とその設定背景を指示すれば、具体的にフェーズ毎のタスクやそこへのアプローチ方法を自分で考えて実行し、期待以上の成果で応えてくれます。既存のものにとらわれずに新しいことを生み出す力(=変革力)を持ったミン君を、つくるを拓く人に推薦します。
A.「つくるを拓く人」に推薦されたご感想は?
Q. 佐藤副社長から推薦をいただいた時は、正直、驚きと緊張がありました。それと同時に、大林ベトナムを代表して「つくるを拓く人」に選ばれ光栄なことだと感じています。
私は大林ベトナムに入社して7年目になります。最初は地元に近いベトナム北部のハノイ支店で採用されました。私の人生の運命的な転機になったのは、ハノイから1,000km以上も離れた南部のホーチミン本社への転勤です。ベトナムでは転居を伴う異動は一般的ではないのですが、家族は快く送り出してくれました。故郷を遠く離れたホーチミンでの生活は大変なこともありましたが、自分に訪れた転機に感謝し、これからも楽しみながら変化を受け入れていこうと思っています。
以前は総務課に所属し、建設許認可関連業務でさまざまな関係者との調整を行っていましたが、2年前に佐藤副社長のもと企画課に配属されました。大林ベトナム初の海外支店となるプノンペン支店設立業務に関われたことは、私のこれまでのキャリアの中で大きなマイルストーンになっています。新しい環境、言葉、文化の中で仕事をしたことで、自分の見識を大きく広げることができました。メンバーが10名もいる「業務のDX化推進プロジェクト」のリーダーに任命されたのも、本当に幸運なことでした。今から数年前までは、会社のPC以外のデバイスでEメールを使うことすらできず、私たちは会社のデスクに縛り付けられていました。佐藤副社長の「昔と同じことをやるのではなく、もっとモダン且つシンプルなやり方でやろう」という言葉のもとDX化を進めたことで、大林ベトナムにもようやくクラウドの時代がやってきました
例えば、承認書類を紙媒体で社内回覧していた時は、全ての承認が完了するまで10近いデスクを経由しなければいけませんでしたが、今は全て電子化されています。いつでもクラウド上で承認できるようになったことは、私たちにとって大きな変革のひとつです。
また、経営ダッシュボードの導入には、「Power BI」という最新のアプリケーションについて勉強が必要でした。これは私にとって新たな挑戦になります。そこで「Power BI」を効率的に学ぶために、同じような問題を抱えていたり、それを経験したことがある人が集まる全世界オンラインコミュニティに参加することにしました。国を超えたくさんの方々から知識やヒントを得ることができたので、オンラインコミュニティでの学習はとても有効でした。YouTubeなどからも多くのことを学ぶことができましたね。
この経営ダッシュボードには、計画から導入までに1年半近くかかっています。長く、そして難しい道のりでしたが、経営戦略、人事、経理、契約といったデータが同一システム上で動かせるようになり、社内での正式な発表にこぎ着けた時は、チームメンバーと共に達成感を味わうことができました。努力が実を結び、無事に導入できたことは、自分やチームメンバーにとっても意義のある成果だったと思っています。
A.ミンさんが仕事をするうえで大切にしていることは?
Q. 私が大切にしているのは、一つひとつの仕事でいかに信頼をもたらすかということです。入社した時は会社がどういうものかも分からない白紙の状態だったので、経験のある上司や同僚から知識を吸収しながら、早く成長して結果に結びつけたいと思っていました。上司から初めて「この契約書はあなた自身で考えてみて」と仕事を任された時は、一人前と認めてもらえたようで本当にうれしかったですね。
信頼を得るのは大変ですが、その信頼を維持することはもっと大変です。だから私はどの仕事においても全力投球で、最善の結果を出す努力をしています。それが信頼を勝ち取り、新たなチャンスを得ることにつながっていくと信じているからです。
新しい知識は自分の価値観を広げてくれますし、学んだことで会社に貢献すれば、上司や同僚から信頼を得ることができます。私はまだ30歳と年齢も若いので、新たな知識をたくさん吸収することで、世界の変化にどんどん適応していきたいと思っています。これからはDXを介したデータ活用や情報から読み取る力が成長のカギになってきますし、個人的にも仕事のパフォーマンスを上げるためにはICTの知識やスキルが必要不可欠。最近はICTに関する新しいツールを探すために、かなりの時間を投資して勉強しているところです。
実は私の友人たちは、大学院へ行ったり、常に何か新しいことを学んでいる人が多いんです。彼らに後れを取らないためにも日々成長していきたいと思い、今は大学院の社会人コースで法律を勉強しています。カンボジアで支店の立ち上げ業務を経験し、建設業ライセンスの取得や弁護士とのやりとりには法律の知識が必要だと痛感していたので、専門的に学ぶことで自分の能力をアップデートしている最中です。
A. ミンさんにとっての「つくるを拓く」とは?
Q. 私にとっての「つくるを拓く」は、日々是成長です。自分を成長させるために全てを注ぎ込めば、必ずその努力に報いる結果が待っていると思うからです。そのためにも、新しい挑戦や変化を喜んで受け入れていこうと思っています。成長するチャンスが来たなと感じると、「さあ、快適な場所を抜け出して、成長ゾーンに踏み出す時が来たぞ!」と自分の中で鐘が鳴るんです。
建築のプロジェクトチームは、毎回違う建物に挑戦し、それを完成させることで大きな達成感を得られますよね。それに比べると私はルーティンワークが多い本社管理部門にいますので、挑戦の内容がやや異なるかもしれません。ただ、たとえ一つひとつの業務は小さいものでも、それを自分にとっての新たな挑戦と変革へのワンステップと捉えることができれば、業務を完遂した時にはひとつの山を制覇したような達成感を感じることができます。カンボジアの支店が開設されたり、業務のDX化が実現した時には、自分自身をとても誇らしく思うことができました。
私のような若いスタッフに仕事を任せることにはリスクがあると思いますが、新たな挑戦の機会を与えていただけるのは、佐藤副社長がおそらく私の中にあるMAKE BEYONDの精神に気がついてくださったからだと思っています。
将来は実業家として会社経営をしてみたいですね。大きな夢であることは分かっていますが、誰だって夢を見ることはできます。これからも日々是成長をモットーに、いろいろなことに探究心を持ち続けて挑戦していきたいと思います。
同僚でもある奥様とローマのコロッセオにて。
働きながらマーケティング・セールスの修士号を取得された奥様は、ミンさんにとって共に成長していけるパートナー。「彼女は常に刺激をくれる存在なので、学業においても対等でいられるようにがんばりたいですね。
<Essentials in Minh’s life>
コロナ禍の影響でコーヒーが趣味になったというミンさん。「コーヒー
マシンも買ってかなりお金をかけました(笑)。ちょっと飲み過ぎなところもありますが、一日のエネルギーの元になってくれています」
“Make Beyond” with transformative power
Points of Mr. Minh’s “Make Beyond”
* 自分に訪れた挑戦や変化を楽しみながら受け入れ、日々成長する
* 知識やヒントを効率的に得るため全世界オンラインコミュニティを活用する
* 信頼をチャンスにつなげるため、常に全力投球で努力する
* 新たな知識で価値観を広げ、世界の変化に適応する
* 大きな夢を持ち、それに向かって自分をアップデートする
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